中山マコトコピーライティング起業術
■花束が育てるありがとうの芽。
西麻布に、”アヒル”と言う名の、イタリアンがある。
http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130703/13005247/
店名の由来は、ガ~ガ~鳴く鳥では無く、”A HILL”。
鉄板焼きが充実した、とっても素敵で面白いお店だ。
ある日、僕は大親友のナベちゃん、弟子の野菜ソムリエCanacoと一緒に、
この店を訪れた。
実はCanacoのバースデイを祝う日だったのだ。
で、席に着き、ドリンクをオーダし、先ずはサラダ・・・。
すると、店のお兄さんスタッフ(以降、兄さんと略す)が、
「サラダは二人前なんですよ・・・」と言う。
「そうか、じゃ、4人前貰おうか?」と話すと、お兄さんがすかさずこう言うんです。
「3人分をお作りしますよ!」
この時点で、すごく気遣いの出来る、自由度のある店だな~と感じる。
で、他にもいくつかオーダし、ワインでバースデー祝いの乾杯を。
するとその時、丁度サラダが届く。
兄さんが、僕達の「誕生日おめでとう!」と言う台詞に、
ニコリと微笑んだ気がした。
おいしい料理に舌鼓を打ち、少し酔っ払い、〆にはこの店自慢のメニュ-、
カレーをオーダ。
絶品である。
鉄板焼きフレンチのカレー・・・
あんまり聞いたこと、無いよね。
で、会計をしてドアを開け、店外に出ると・・・そこには・・・
コック帽をかぶったシェフが、花束を持って立っている。
「お誕生日だと伺ったもので・・・・」
シェフはニッコリと微笑むと、その花束を恭しく、Canacoに手渡した。
この花束、どうみても出来合いでは無い。
ましてやいつも用意されている増加とかプリザーブドフラワーでも無い。
このためだけに、近所のお花屋さんから取り寄せたか、
或いは作ってもらったか?そんな本物の花束だ。
誓って言うが、僕はこのCanacoの誕生日の事を、
事前に店には言っていない。
青山の某有名レストランのように、
”事前に分かっていれば色んなサービスも出来ますよ!”
と言うのとは根本的に違う、アドリブと機転の利いたフォーメーション。
僕はこの店に、プロのサービスを見た。
まさに、ありがとうを育てる店。
ありがとうは、言われた時がゴールなんかじゃない!
言われた瞬間から、もっともと大きな”大輪のありがとう”に育てるべく、
スタートするものだ。
ありがとうを言わせたいとガンバルのでは無く、言われた時がスタート。
そう考えると、無理矢理作った、アイディア優先のサービスが、
いかに陳腐で色褪せて見える事か。
この店のすごさを形成する最大のエンジンは”お客さんへの関心”。
お客さんに対し、いつも関心のベクトルを向けていなければ、
こんな動きなど出来ようハズも無い。
ア・ヒルで育ったささやかな、でもとっても大きなありがとう。
僕は色んな場所に広げていきたいと思う。