■「自分にぴったりの本を見つけに行こう!」

つい先日、江戸川は篠崎の“読書のすすめさん”にお邪魔しました。

ここ、ご存じの方も多いと思うんですが、ベストセラーを置かない本屋。

“本のソムリエ”のいる店として有名で、
数年前にテレビ番組の“エチカの鏡”でも取り上げられ、
一気に有名になりました。。

店長の清水さんは、自らも沢山の著書を持つ方で、また、
本のソムリエとしても多くの読者に沢山の素敵な本を紹介し、
大げさな言い方をすれば、沢山の人生に彩りを与えて来ました。

で、その店に僕がたまたまお邪魔したところ、
制服姿の女子高生で溢れかえってるんです。

それは、目黒にある“トキワ松学園高等学校女子校生徒達”の集団でした。

で、その集団を率いるのが進路指導部長の木本寿先生でした。

以下、木本先生の物語です。

木本先生。

普段からある悩みを抱いていました。

それは・・・
生徒達に良い本を紹介したい、でも現実にはなかなか出来ない・・・
と言う悩みです。

正直、先生がいくら力説してもなかなかしの思いは伝わりません。

学校の都合、先生の都合と捉えられかねないからです。

で、彼は一計を案じました。

彼自身が、読書のすすめのお客さんであったこともあり、
“読書のすすめ訪問ツアー”を企画したんです。

テレビにも何度も出演していて、ある種、権威である清水店長の言葉なら、
生徒達も耳を貸してくれるんじゃ無いか?
そう考えたんです。

彼はこんなコピーを考え、生徒達に投げかけました。

「自分にぴったりの本を見つけに行こう!」

生徒達の反応は思いがけないほどでした。

もちろん相手は高校三年生ですから受験まっただ中の生徒も沢山います。

が、進路が決まっている生徒達を中心に、実に24人の生徒が、
「ぜひ行きたい!」と手を挙げてくれました。

先生は、
「各人、1000円~2000円くらいを用意して来るように!」
と伝えました。

清水店長に電話で趣旨を伝え、
”最初に読者に関するミニセミナーをやっていただきたい事。”

で、その後、店内で本の紹介をして欲しいこと。

加えて、
“生徒の相談にも乗ってあげ、個々人にふさわしい本を紹介してやって欲しいこと”
などを伝えました。

清水店長の答えはもちろんOK。

実に快く受け入れてくれました。

で、当日、篠崎の駅で不安げに先生の到着を待つ女子高生の一団がありました。

店に着くと、生徒達の様子に落ち着きがありません。

それはそうです。

読書のすすめは、一般の本屋さんとはまったく違った作りです。

店内にはなんと、ビールサーバーは置いてあるし、
本以外の商品が沢山置いてあります。

勝手が違い、面食らうのも当然です。

で、清水さんのミニ講演が始まり、本の紹介・説明が始まりました。

生徒達は実に熱心に聞いてくれました。

徐々に質問も出始め、清水店長にちょっとした悩みを打ち明ける生徒も出てきました。

その質問に真摯に応える清水さん。

店内には熱気と、そして暖かさが溢れて行きました。

結果、生徒達の手にはそれぞれ、清水さんと一緒に選んだ本が握られていました。

レジには長い長い行列が出来、清水さんと記念写真を撮りたいと言う生徒も沢山出てきました。

レジをすませ、晴れて自分の本となった一冊を手に店を出た生徒は、
店の外観とか看板を必ず写メに納めていました。

彼女達の顔は、本当にひとりの例外も無く実に晴れやかなものでした。

これが僕がたまたま遭遇したその日のすべてです。

たまたま帰りに同じ電車に乗った僕と先生はずっと話し込みました。

こういう先生がいてくれるうちはまだまだ学校も捨てたもんじゃないな!

そう痛感させてくれました。

「自分にぴったりの本を見つけに行こう!」

何となく考え、思ってはいても、いざ実行に移そうとするとなかなか難しいモノでしょう。

でも木本先生は敢えて、そのハードルを乗り越え、生徒の為に動いた。

そこには打算も、あざとい点数稼ぎの発想も一切ありません。

だから24人もの生徒が反応してくれたのだと思うんです。

「いや~、本当に良かったです!」

そう語る木本先生の顔は実に穏やかに輝いていました。

思うのは誰でも出来る。

でも、実際にカタチにして見せるのはそう簡単ではありません。

でも、そのカタチにして見せることが出来なければそのアイディアは、無かったのと同じです。

行動すること、実体化すること。

その真の意味をこの木本先生と24人の女子生徒達が教えてくれたような気がします。